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車椅子マラソン競技とは何かを紹介しています。

「車いすマラソン」や「車いすロードレース」は今では各地で開催されています。車いす使用者であれば、「一度は屋外の公道を走ってみたい。」と思われている方も少なくないでしょう。私の住んでいる大分では毎年11月に大分国際車椅子マラソン大会が開催され、今年で21回目になります。日本各地また海外から毎年約400名の選手が参加し、世界最高記録も生まれるなど、世界でも有数の大会として運営されています( http://www2.pref.oita.jp./marathon/)そしてこのコーナーでは、車椅子マラソンの普及と強化に約立つように、実際の選手のためのトレーニングを紹介します。ご質問は、掲示版へどうぞ!

まず、車いすマラソンをご覧になったことのない方、よく知らない方のために。車いすマラソンの特徴は、

  • 一般のマラソンより速く、車いすマラソン男子の世界最高記録は、1時間20分14秒です。
  • 一般のマラソンでは30kmすぎが勝負のポイントになるが、車いすマラソンではスタート直後から5kmまでが重要です。
  • レース中の給水は、レーサーにボトルを装着するので、コース上に設置してある給水はほとんど使用しません。
  • 選手が集団を形成して、先頭選手を進行方向からの風除けにするため、先頭交代しながらレースします。(しかしレースも終盤になり、勝負を左右する場面ではこの限りではありません。)

レーサーに乗って「マラソンやロードレースや車いす駅伝に出場してみたい」と思っている選手や、実際に練習はしているけど「思ったように速くならない」。そんな選手にはぜひおすすめ。日誌をつけていれば、自分の練習に関するアイデアが沸いてきます。また自分の練習結果を活字で後日振り返り見ることができます。時には、一般のマラソン関係の本を読み参考にするのもお勧めです。日誌の記録方法はノートに書いたり、コンピューターに記録する方法もあります。私の場合指導日誌に記録する内容は、選手に指導した要点や記録、気づいたことや練習のアイデアなどです。また選手の車いす上のポジションやフォームの画像(デジタルカメラやビデオ)などもデジタルカメラの連写モードで撮影しコンピューターに保存し、選手に見せるなどの工夫も行っています。選手の場合は、練習の内容・天候・体調・練習場所・走行距離・最高速度・工夫した点、気づいた点指導された点など記録すれば良いと思います。ぜひ取り組んでください。

「どの大会にでようか?」良くまようことが良くあります。車いすマラソン選手の場合、多くは中距離種目からマラソンまで取り組みます。時期によっては車いす駅伝やトラック種目の為のスピード練習中心に取り組む必要もあり集中して自分のフォームの悪いところを修正する時期も必要です。また住んでいる地域によっては冬期が長かったり、夏季が長かったり季節や気候の違いが有りますので車いすマラソンランナー全てが同じスケジュールを立てる必要はありません。1年間全てのレースが100%のトレーニングと体調でのぞめることはありません自分の目標とするレースでのタイムや順位などを明確にして、計画的にトレーニングを考えましょう。年間計画ですが、12月と1月をシーズンオフとして考え、この時期には何が自分に必要なのかを考え、必要なトレーニングに落ち着いて取り組むようにしています。またシーズン途中に変更できなかったことなど取り組む時期と考えています。いわば次へ速くなるための下ごしらえの時期です。けっして休むだけの時期ではないので「ご注意!!」。以下に、年間の計画例を参考にしました。しかしあくまでも例ですので、自分にあったものに変更することをお勧めします。

年間練習計画例:

 1月:フォーム修正と筋力アップを中心に土日には長距離も走ろう
 2月:車いす駅伝にむけて、ロードでスピードアップ
 3月:ハーフマラソン:駅伝の延長のつもりで、ただし土日には長距離も!
 4月:スピード練習:5月のトラック大会に向けて、トラック練習中心。
 5月:日本選手権大会(トラック・中長距離):シーズン前半の総まとめ
 6月:持久的練習:土日のロング中心の練習(40km以上)
 7月:ハーフマラソン:3月の記録と比較を!
 8月:スピード練習と持久的練習:暑さに注意して!この時期の練習が秋に影響する。
 9月:持久的練習:走り込み中心になりますが、スピード練習で刺激も加えます。
10月:持久的練習:走り込みと10kmや20kmのスピード練習も加えます。徐々に疲労を抜きます。
11月:大分国際車いすマラソン大会
12月:今年1年間の反省と来年に向けての取り組みを明確にします。

トレーニングは、ウエイトトレーニングと持久的トレーニングを行います。

次回は、身体の変化を知ろうです。

トレーニングを続けると、人間の体は変化していきます。筋肉が発達し、上腕周囲が太くなったり、体内の脂肪が燃焼し、ウエストが細くなったり。特に上腕や前腕の周径や、胸囲、体重などトレーニングにより大きく変わりやすい部位です。上腕・前腕の周囲の大きさは筋の発達がわかります。また胸囲の発達は胸や背の筋の発達や呼吸循環機能(心肺機能)を保護する胸郭の発達度合いがわかります。体重は、身体の組織の充実度合いを表し、身体の発育状態・栄養状態・運動と栄養のバランス病気や障害による筋肉や骨の萎縮や消耗状態が把握できます。それぞれの意味を知っておけば、身体のコンディションを知る意味でも重要です。体重はできれば毎日計測してほしいものです。

大腿部の腹側に腹部と胸部の前面を乗せるような前傾の姿勢をとりレーサーにのります。胸囲の変化や麻痺している下肢のむくみ(血行が悪くなる、循環障害)などは、車いすのポジションに影響を与えます。渡辺幹司選手(農協共済別府リハビリテーションセンター所属)のポジションが毎年変わるのは、年々胸囲が大きくなるからなのです。ポジションが変わると、突然「思うように車いすが駆動できない。ハンドリムに手が届かない。以前よりスピードが落ちた。」などマイナスの変化点が起き、さらにポジションを変えたりフォームが変わったりと悪い方に循環する場合が多いのです。初心者の方が競技を初めてしばらくすると車いすや身体に変化が起きますので、変化したことを測定して記録しておくと、後々に参考になるのです。下に示した部位は最低でも測定しておくと良いでしょう。また練習日誌に記録して、定期的に(一ヶ月おきから2ヶ月)に確認しましょう。計測ポイント メジャーをねじったり、ゆるめすぎたりしない。

  • 上肢長 肩峰〜橈骨茎状突起または中指先端(写真1)
  • または 液窩〜親指先端(写真2)
  • 上腕周径 上肢は体側に付け、上腕中央部の再大部(写真3)
  • 前腕周径 上肢は体側に付け、前腕近位部の再大部(写真4)
  • 胸囲(写真5)
  • 体重(できれば毎日)

さて、今回は選手の使用する道具「レーサー」について紹介します。選手が使用する「道具」として重要なものは、「レース用車いす」と「手袋」、その他にヘルメットやウエアーです。

レーサーの全長は、選手によりさまざまです。外国人トップレベルの選手では、180cmを超えるものもあります。国内トップレベル選手の場合、男子は175〜180cm、女子は170Cm前後の長さを使用しています。レーサー本体(以下、フレーム)の材質は、アルミニウム製が多く、その他にチタニウム製もあります。重量は、レーサー長や付属部品で異なりますが、タイヤなどすべてのパーツが完備された状態で8Kg前後です

  1. 前輪 前輪の直径ほ20インチが主流ですが18インチもあります ホイールの種類はディープリムホイールやスポークホイールを使用しています(練習用とレース用に使い分ける選手もいます)。

  2. 後輪 直径27インチが主流ですが26インチもあります。後輪の本体部は、板状のディスクホイールが主流ですが、スポークホイールもあります。ディスクホイールは、スポークホイールに比べて @空気抵抗が少ない、Aホイールの中央ハブ幅が小さい、Bハンドリムが駆動しやすいなど、パーツとしては優れています。しかし欠点として、取り扱いによっては破損しやすく、コストが高いことです。
  3. タイヤ タイヤは、自転車競技用の薄くて軽量のものを使用します。タイヤは消耗品ですので、レース時には新品に換えたほうがパンクしにくいでしょう。また、トラックレース用とロードレース用では、タイヤの重量・強度・値段が違うため使用用途にあったものを選択しないと簡単にパンクすることもあります。(トラックレース用のタイヤでロード練習に行くとよくパンクしてしまうことがあります)
  4. フレーム レーサーの骨格とも言うべきもので最も重要な部分です。各メーカーが軽くてかつ強度のあるものを開発しています。

  5. フロントフォーク 前輪やブレーキを固定する部分です。ネジなどの固定部品は、必ず練習前にチェックしてください。

  6. シート 座る部分で、骨盤や下肢を中心に身体とフレームを固定する役割を持ちます。

  7. ブレーキ スピードをコントロールする装置です。自転車のパーツを使用しています。
  8. ハンドル 急カーブやUターンをするときに使用します。フロントフォークとつながっており、トラックレースではほとんど使用しません。もしこのハンドルをトラック競技で使用して、コーナーを曲がればその分ハンドリムを駆動できないのでスピードをロスします。
  9. トラックレバー トラックレースの時に使用するレバーです。ワンタッチで前輪が真っ直ぐ向けたり左に向けたりします。
  10. キャンバー角度 後輪をハの字にしている角度です。駆動する時の上肢の動きを容易にし、またコーナーを曲がりやすくします。角度が不適切だと、上肢の内側をタイヤやハンドリムで摩擦し、角度を付けすぎると後輪の転がりが悪くなります。12度から14度が一般的です。

  11. ハンドリム レーサーを推進するための駆動部分です。上肢長や障害クラス、あるいは後輪サイズによって大きさが異なります。インチの後輪を使用する場合、標準の直径は38Cmですが、選手の身体条件により左右される部分で、人によって異なるものです。材質はアルミニウムですが、滑りにくくするために表面にタイヤのゴムなどを巻いて使用します。

  12. 給水用ボトル 一般のマラソンと違い車いすマラソンや車椅子トラックレース中の給水は、レーサーにボトルをスタート前からつけています。ボトルは自転車競技用のものにストローの様な管をつけ、吸引すれば水分摂取できます。
  13. サイクルコンピューター 走行中のスピードや距離・タイム・平均速度など表示します。

レーサーを作る場合、選手の障害や、身長・骨盤の幅・上肢長、下肢関節の可動性などの身体的条件と競技種目(マラソンだけなのか、トラック種目も併用するのか)を考慮して、発注する必要があります。今後、はじめたい人は、以下の項目を参考にしてレーサーを注文していただきたいと思います。

  1. 最初は大会や練習会場に行って見学し、いろいろなレーサーを見せてもらう。
  2. 所有者の許可があれば、実際にレーサーに乗ってみる。
  3. 他者のレーサーに乗った場合、所有者に実際立ち会ってもらい、自分勝手にシートのベルト等をゆるめたり、しめたりしない。
  4. 服装はジャージではなく、スパッツのような伸縮性の高い、薄いものにして、レーサーにフィットした状態で乗る。
  5. 新しいものを最初にオーダーするよりも、自分に合った中古レーサーを探してみる。
  6. 個人から購入する場合、購入前にタイヤなどの消耗品の確認をして、消耗品は新しいものに交換し練習する。
  7. 最初のレーサーは、170cm より短いものにする(長くなれば操作性が困難になる)。
  8. 中古レーサーがない場合は、メーカーや先輩選手、指導者等に相談し、アドバイスを受けて採寸する。

なお、チームイブスキでは新しく車いすマラソンをはじめたい人で、レーサーがほしい人のお手伝いをしています。希望があれば、掲示板かメールでどうぞ!

前回では、車いすマラソンで使用する用具について解説しました。今回では、レーサーの乗り方と降り方について説明しましょう。レーサーの乗り方には、大きく分けて2つの方法があります。

1)レーサーの後方から乗る

この方法は、腹筋群や背中の脊柱起立筋群の麻痺があり、座位バランス能力(背もたれなしで座る能力)が低下し、両手を上にあげて座れない選手が使う方法です。

  1. 生活用車いすに乗ったまま(しっかりとブレーキをかける) レーサー後方に位置し、腰を止めるバックレストの上のベルトを緩めます.

  2. レーサーのフロントを上げた状態で、自分の両下肢を片方ずつ手で持ち上げ、シートの中に入れます。

  3. レーサーのフロントを下げて水平にしながら、レーサーに乗り移ります 。利き手は、前方のパイプを持ち、片方の手は後方の側板上部分を持ち、両手に力を入れて体を支えるようにします。この時、利き手の肩を前方に向けて体をねじるようにすると腰が両側の側板につかえずにスムーズにシートに座ることができます。(体をねじる体幹の回旋筋群が麻痺しているので、代償動作を行います)。

  4. ゆっくりと両手の肘関節を曲げて座ってください。 完全に座った後、両手で前のパイプを持って、体全体をバックレストに向けて押し、レーサーの中に深く確実に座ります。

  5. 最後に、バックレスト上の腰部分のベルトを確実に止めます。

2)レーサーの横から乗る

この方法は、腹筋群や脊柱起立筋群の働きにより座位バランス能力がほぼ正常の選手で手を上げた状態で座ることができる選手に適した乗り方です。

  1. レーサーの横に位置し(右でも左でもかまいません) 必ず生活用車いすのブレーキを止めます。

  2. レーサーの右側から乗る場合は、最初に右足を左足側に組むようにしてシート上に置きます。

  3. 次に左足をシートに置き、右手で生活用車いすのパイプを持ち、左手でレーサーの側板を持ち、 体を前傾させ両手に力をいれて体を支えるようにします。

  4. 右手の生活用車いすを押すようにして、体の重心を左手の方に移動します。

  5. レーサー上に移行したら、体を正面に向けます。この時、両手でしっかり車いすを固定し、 体を支えください。手が滑ったりすると、転落してしまいます。

  6. 右手をレーサーのパイプに持ち替えて、少し体をひねる様右肩を前に出します。 これで、骨盤がレーサーの中に入りやすくなります。

  7. シートの奥まで、深くお尻をいれます。

  8. 足部がうまくシートの中に収まっているか、手で触って確認します。 (足の感覚が麻痺しているので、手で触るか、他の人に見てもらう必要があります)

レーサーから降りる場合は、乗り方とは逆の手順で行います。

★注意点★
上肢(肩から指)筋の筋力が弱い選手や、体が不安定な選手は介助者がいれば安全です。その場合、介助者には腰を添えてもらうだけにしてください。介助者が無理にレーサーや車いすに移動させることは転倒の原因にもなります。2人の動作やタイミングを合わせて、声をかけ合いながら移動しましょう。

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